いまや「エステサロンだからヘアケア製品は売れない」というマーケットの動きでないということは、前回までのコラムでお伝えしましたが、この本質は他の美容サービスにも同じことが該当していると私たちは考えています。例えば国内のネイルサービスマーケットは、2005年の427億円から2015年には1,655億円へと急成長し、2023年には2,115億円になると調査会社には予測されています。
エステ経営の選択として、技術者を雇用しネイルサービスも加える・ネイルの専門店舗を出店する・ネイル関連の店販だけ行うなど、いくつかの候補が挙げられますが、一旦はネイル化粧品について・施術対象の爪についての知識をサロンが備えておくことがスタートであることは共通です。
【目次】
1.健康・美容のバロメーターである、爪の構造・加齢による変化について
2.ネイル化粧品は、スキンケア化粧品と同様にいくつかの種類と特徴がある
3.今回のまとめ
健康・美容のバロメーターである、爪の構造・加齢による変化について
ネイルメニューを行うにしても、フェイシャルやボディメニューと同様で、施術対象物(ここでいう爪)の構造や機能を理解しておくことは重要です。ましてや爪であれば、健康・美容のバロメーター機関ともいわれますから、近年では美容に詳しい消費者も、日々これに関する情報を吸収しています。
爪は、皮膚の表皮層から爪母によってつくられ角質化したもので、硬質のタンパク質であるケラチンが主成分です。表皮の角層からは3層に変化していて、この薄い間には最低限の水分や脂肪が約0.15〜0.75%含んでいます。爪の水分は健康的な成人であれば12〜16%で、この数字は季節・環境・年齢によって変化します。爪は、加齢的変化によって厚みを増し、成長スピードが遅くなり、季節でいうと冬よりも夏の方が成長しやすいです。健康的であれば爪の成長スピードは一日に約0.1mmで、表面積の大きいネイルプレート(爪甲)は、指先の皮膚に密着をし、その先端は離れています。乳白色になっている爪の根本は半月状になっており、ルヌーラ(爪半月)という新生の部分です。爪の根本は皮膚で保護されていて、この皮膚をエポニキウム(爪上皮)といい、一般にキューティクル・甘皮などと呼ばれています。
冒頭、爪は健康・美容のバロメーターといいましたが、具体的には色調・形態・周辺の皮膚変化で何かしらの異常を読み取ることが可能です。色調では、白濁していると肝硬変や腎不全、糖尿病・黄白色だと内臓疾患、リンパ系の異常・青紫だと肺疾患・青白いと貧血症・緑だと緑膿菌感染・茶だと発熱性肉芽腫・黒褐色だと金属性色素沈着や悪性腫瘍といった判別にも用いられたりします。形態や周辺の皮膚変化であれば、爪の縦皺があると老化や乾燥が懸念されるのでハンドマッサージが有効的でありますし、横に溝があれば甘皮の切りすぎや外からの打撲が疑われます。リムーバーを使い過ぎると二枚爪になりますし、角化異常になると爪白斑が現れます。ささくれが起きるとネイルオイルやクリームで指先にうるおいを与えないといけませんし、爪周囲炎になれば指先を消毒し、清潔に保つ必要があるでしょう。
ネイル化粧品は、スキンケア化粧品と同様にいくつかの種類と特徴がある
ここからは爪を手入れするネイル化粧品と、そのお手入れ方法について触れていきたいと思います。ネイル化粧品は大きく分類して7種類ありますが、手順として早いアイテムから名称や用途を解説していきたいと思います。
まずは爪を保護し、色素沈着を防ぐベースコートを使います。ベースコートは爪表面をなめらかにするだけでなく、その後の発色効果を助成します。着色剤・皮膜形成剤・溶剤で構成されるカラーポリッシュは、爪を彩り、膜を覆って保護をします。カラーポリッシュの上から使用し、ツヤを与え剥がれにくくするのはトップコートで、これで一連仕上がります。カラーボリッシュを除去するために使用するアイテムはボリッシュリムーバーですが、これは皮脂成分を溶解するアセトンや酢酸エチルが主成分で、しかし爪の脱脂や脱水を防ぐために保湿剤や油分が含まれています。爪を美しく保つために汚れやルースキューティクルを除去する役割がキューティクルリムーバーで、爪周りの皮膚を乾燥から防ぐのがキューティクルオイルです。また、キューティクルを軟化させるために油性成分に訴求成分を加えているのがキューティクルクリームです。
その他のネイル化粧品には、カラーポリッシュに代わるアイテムもあるのです。ツヤと耐久性に優れたソークオフジェルは、合成樹脂を爪に塗布し、光重合反応をさせており、溶剤で落とせることが特徴です。一般的にスカルプチュアネイルといわれる「アクリルネイル」は、アクリルパウダーとアクリルリキッドを混ぜて硬化させた人口爪で、爪を延長したり補強したりすることができます。溶剤で溶くことができない硬く強い結合力があるのはハードジェルの特徴で、これは美しい光沢を持続できることが特徴です。
今回のまとめ
40代・50代・60代と、すべての年齢層(女性)に共通していえることは、30%を超えるネイルサロン利用率をマークしているということです。もちろんエステサロンを経営している限りは、それぞれのメニュー比率をバランスさせることが前提ですが、ネイルはそれぞれのエステサロンが行う施術・店販の戦略として、視野に入れるべきフィールドなのです。