前回のコラムでは、頭皮の汚れが毛孔にフケや皮脂などを溜めるので、そこから炎症を引き起こし、いずれ毛根細胞の死を誘発するとお伝えをしました。これは言い換えれば、日々使うヘアケア(シャンプーやコンディショナー)化粧品に気を付けることで、脱毛・薄毛の進行リスクを軽減できるということです。
エステサロンが髪を含めたトータルビューティーをお客様に提案するのであれば、ヘアケア化粧品の店販事業は、「やった方がいい」のではなく「やらないといけない」アクションだといえるでしょう。
【目次】
1.界面活性剤を基準とし、シャンプー製品を分類し、特徴を理解する
2.エステサロンでは、ヘアケア化粧品をラインで店販することが重要です
3.今回のまとめ
界面活性剤を基準とし、シャンプー製品を分類し、特徴を理解する
エステティシャン特定のスキンケア化粧品を店販する前提として、一般的な肌知識やスキンケア化粧品についての内容を理解しておくことは必要ですが、これはヘアケア化粧品の店販も同様のことがいえるでしょう。今回のコラムでは、毛髪や頭皮を健やかに保つ目的としてつくられるヘアケア化粧品(シャンプー・リンス・コンディショナー・トリートメントなど)が、一体どのような内容物で構成されているのか?またその特徴を共有していきたいと思います。
まずは老若男女問わず使用するシャンプーの役割ですが、これは皮脂や汗・フケ・汚れ・ヘアスタイリング料などが付着した毛髪や頭皮を洗浄し、ふけやかゆみを抑制する働きがあります。シャンプーの主成分は、水と界面活性剤ですが、その他微量ですがコンディショニング成分(ポリマーなど)や訴求成分も含有しています。また良質なシャンプーというものは、頭皮には必要な皮脂や水分がありますから、これを取りすぎないという特徴も持っています。
またシャンプーの性質を理解するにおいて、界面活性剤の種類やその特徴を知っておくことが重要です。シャンプーに含まれる界面活性剤の種類は主に5種類があり、具体的にはアニオン型である石鹸系・高級アルコール系・アミノ酸系・タンパク系と、両性イオン型のベタイン系に分かれます。以上は洗浄力が強いものを順列しておりますがまず石鹸系のメリットとして当然アルカリ性で洗浄力が強く成分分解性に優れ環境に優しいことが挙げられますが、デメリットとしてはごわつき・きしみを感じやすくパーマの効果低減やヘアカラーの退色が進みやすいことが挙げられます。成分表示は石鹸用素地・純石鹸・脂肪酸ナトリウム・脂肪酸カリウムなどが載っています。高級アルコール系は、泡立ちがよく洗浄力が高いことがメリットで、脱脂力が高いことが反面デメリットといわれています。ラウレル硫酸ナトリウム・ラウレス硫酸ナトリウムなど、成分表示として「〜硫酸」と載っているもので認識ができます。弊社がもっともバランスとして適切だと考えているアミノ酸系は、弱酸性で低刺激・髪のタンパク質を守りながら洗浄ができることが最大のメリットです。しかし一方で泡立ち・洗浄力が弱く強固な汚れを落としにくくし、しっとり感が不必要に出るということがデメリットとされていますが、これは製品をつくる段階でクリアする処方もあるのです。成分表示では「グルタミン酸・アラニン・グリシン」といった載り方をしています。同じく弱酸性であるタンパク系は、ヘアカラーの退色を抑えながら洗浄ができますが、泡立ち・洗浄力が弱く、強固な汚れは落としにくいといわれています。「加水分解ケラチン・加水分解コラーゲン・加水分解シルク」などが成分表示の一部です。唯一両性イオン型であるベタイン系は、安全性が高く低刺激なのが売りですが、反面泡立ち・洗浄力が弱いことがデメリットです。「〜ベタイン」と成分表示につく製品が該当する代表例です。
エステサロンでは、ヘアケア化粧品をラインで店販することが重要です
シャンプーと1セットで店販ができるリンス・コンディショナー・トリートメントといった製品は、傷んだ毛髪の光沢・感触・質感・扱いやすさなどを改善する目的で使用されますが、これにはカチオン型界面活性剤が使われる場合が多いといわれています。カチオン界面活性剤は、傷み・キューティクルが剥がれた髪の部分に多く吸着する成分です。
その他リンス・コンディショナー・トリートメントなどのヘアケア化粧品は、髪質を向上させる様々な成分を含有しています。髪のハリやコシを出すための加水分解ケラチンや加水分解卵殻膜・指通りを向上させるためのジメチコン、ポリクオタリウム-10・うるおいやつやをキープする、コレステロール、セラミド3、ジヒドロキシプロピルアルギンHCLなど、一度製品を手に取ってみると、このような成分が記載されていることに気付きます。
また一時期ノンシリコンのヘアケア化粧品が人気を博しましたが、ノンシリコンとは毛髪の皮膜であるシリコンオイルが配合されていない製品を指します。ノンシリコンを好む消費者は、シリコンオイルが毛穴に詰まることにリスクを感じていのですが、現在の研究においては、シリコンオイルは粒子の小ささがゆえ洗髪の際洗い流されるため、このリスクはあまり考えなくていいものだとされています。
今回のまとめ
「ヘアケア製品は美容室が提案するもの」というのは、もうすでに過去のマーケティングなのかもしれません。お客様のヘアビューティーに施術や店販で関わるならば、ヘアマーケットはエステサロンにとって、魅力的な市場であるといえるでしょう。