肌や体質に老化があるように、髪にも老化現象は存在します。薄毛・白髪などが代表されるその現象ですが、こと美容になると「ボリュームがなくなった」「分け目が目立つ」といった細やかな悩みを消費者たちは抱えています。時代は少子高齢化に移行していき、近年では育毛ニーズを発端とした美容室でのヘッドスパ・ECビジネスによる育毛シャンプー・育毛コンディショナー・育毛化粧水市場も成長しています。
弊社はこういった育毛市場にエステサロンの参入は欠かせないと思っています。お客様の美容の目標やお悩みを誰よりも共有するエステティシャンが、これからどんどん成長していく育毛ニーズに対して、ソリューションを持っていないことの方が不自然だからです。
【目次】
1.エステティシャンが身に付けるべき、毛髪・頭皮の構造と機能について
2.エステサロンがこれから参入していくべき、「薄毛」トラブルについて
3.今回のまとめ
エステティシャンが身に付けるべき、毛髪・頭皮の構造と機能について
化粧品やサプリメントの店販事業と同じように、育毛関連の製品においても成功の秘訣はカウンセリングやサロンが所有している正しい毛髪への知識であることは間違いありません。今回のコラムでは、毛髪と頭皮の構造と機能や、それらの老化を題材として扱います。
毛髪は頭皮だけでも約10万本存在し、大きくは毛とそれを包む毛包から成り立っています。毛髪の主な成分はケラチンというタンパク質の一種で、その種類や部位によって成長速度は異なっています。また毛髪は、毛周期という一定の周期を繰り返して生え変わっています。毛髪は、皮膚表面から外に出ている毛幹と、皮膚内部に入り込む毛根に分けられています。その間に毛髪が生える部分(毛孔)があり、これに汚れや皮脂が詰まりトラブルの原因になることがあります。また毛髪を固定する毛包の脇には皮脂を分泌する皮脂腺があり、毛根には、毛髪の成長を担う司令塔である毛乳頭があり、これは毛髪へ栄養分を供給するため毛細血管が入り込んでいます。そして毛乳頭から血液や酸素を受け取り、分裂が繰り返され毛髪を形成するのが毛母細胞です。また、髪そのものは何からできているのでしょうか?先程も述べたように髪は大半(80%〜90%)がケラチンタンパク質でできており、残りが水分やメラニン色素・脂質などです。ケラチンタンパク質にはシスチンというアミノ酸が入っていたり、そもそも毛髪には水分が微量ながら存在しますので、NMFが水分量を保つ一定の役割を果たしているのです。また毛髪の断面の構造を理解しておく必要があるでしょう。毛髪の断面は、外側からキューティクル・コルテックス・メデュラといった三層から成り立っています。キューティクル(毛小皮)は、ケラチンといわれる無色透明の硬いタンパク質で形成されていて、毛先に向かって鱗状に重なり合いコルテックスのタンパク質や水分を逃さない役割を果たしています。しかしキューティクルは、非常に薄い膜でできているため、乾燥や摩擦に弱いことが特徴的です。コルテックス(毛皮質)は、毛髪の大部分を占めており、繊維状の細胞からできているため弾力があり、この層の状態が毛髪の太さ・強さに現れるのです。メデュラは毛随質といわれ、毛髪の中心部分で個々の細胞が積み上がった、柔らかい層なのです。また、コルテックス内部にはメラニン色素が存在しますが、髪の色はこのメラニン色素の種類や量によって決定されています。
よく「毛周期と脱毛は関係がある」と耳にしますが、そもそも毛周期とは何なのでしょうか?頭皮の毛髪は1ヶ月におよそ1cmずつ伸びるのですが、一本あたりの寿命は5年程度だといわれています。しかしながら毛髪というのは常に成長しているわけではなく、一定期間の成長期を終えると毛根は細胞分裂をやめて角化を始めるのです。角化が始まると毛の成長が止まり毛根は次第に肌表面に押し上げられて脱毛をします。そしてある時期になると新しい成長期の毛が発生します。この毛の生え変わりを毛周期(ヘアサイクル)と称するのです。具体的にヘアサイクルは、成長期初期・成長期(5〜6年)・退行期(2〜3週)・休止期(2〜3ヶ月)に分けられます。成長期初期は毛乳頭細胞を抱え込んだ毛母細胞が分裂・増殖を繰り返し成長していき、成長期には皮下組織に達した毛球が栄養を盛んに取り込むことで毛が伸びて太くなります。退行期には、毛母細胞の分裂が止まり毛乳頭は毛球から離れ、休止期には毛乳頭は丸くなってしまいます。よく「異常に髪が抜ける」というのは、何らかの影響や環境で毛周期が乱れ、成長期の毛髪が一定期間に満たないまま、成長が止まり退行・休止・脱毛という状態が起きているのです。
エステサロンがこれから参入していくべき、「薄毛」トラブルについて
毛髪の悩みには、自身のケアで改善できるものもありますから、毛髪のトラブル原因やケア方法については、習熟しておくに越したことはありません。まず毛髪にダメージを与える要因については熱・摩擦・アルカリ・紫外線などが挙げられます。毛髪は基本的には熱に弱く、乾いた状態では180℃でタンパク質変性が起きるのですが、湿った状態ではこれよりも低い温度で髪の内部が傷つきます。ですから日々のドライヤーの扱いは、髪をタオルドライしてから行なうことが適切なのです。毛髪を乾かさずに寝ると摩擦でキューティクルが剥がれてしまいますのでこれにも気をつけましょう。また毛髪は、弱酸性のためアルカリに弱く具体的にはph12で溶けはじめます。ヘアカラー・パーマの化学処理はアルカリ剤を用いますから、キューティクルが溶けて髪の毛は一度で0,03mm細くなるといわれています。また毛髪の悩みには、白髪・パサつき・ふけやかゆみといったトラブル原因もあります。遺伝や加齢・ストレス・薬の副作用・栄養不良などで増えるのが白髪の原因ではありますが、これはメラニン色素を失った状態だといえますのでマッサージで頭皮の血行促進を行い毛根の色素形成細胞を刺激するといいでしょう。パサつきや切れ毛はキューティクルが剥がれていたり水分を失っている状態が原因ですから、髪を丁寧に扱うこと・うるおいを与えたりヘアコート剤などで保護することがおすすめです。フケやかゆみは頭皮の皮脂分泌量が多く、雑菌が繁殖している状態が想定されますので、シャンプー剤での洗い流しや整菌・頭皮の保湿がケア方法のポイントといえます。
薄毛については、今後エステサロンが対策を行うべき顧客の代表的な悩みだといえます。額の生え際・頭頂部などの局所から進行するのは男性型脱毛症の特徴ですが、これは10〜20代で発症する若年性脱毛症というものも存在します。これは遺伝的要素が強く毛周期が短縮し毛は軟毛化・頭皮は硬くなることがよくあります。男性型脱毛症の原因は5つあるといわれており、男性ホルモンの影響で発毛機能が低下すること・遺伝的要因・自律神経の乱れで血行が悪くなり毛根に栄養が運ばれなくなるストレス要因・低体温、冷え性、貧血などからくる血行不良・頭皮の汚れは毛孔にフケや皮脂などを溜めやすいため炎症を引き起こし、いずれ毛根細胞の死を誘発することになります。
その他の脱毛・薄毛は、女性型脱毛症・円形脱毛症などが挙げられます。老化・ダイエット・ストレス・女性ホルモンの減少などからくる女性型脱毛症は、40代以上から全体的な薄毛になることが原因だといわれています。極度なストレスは円形脱毛症を引き起こし、これは若い人・アトピー性皮膚炎の方が起こしやすいといわれています。
今回のまとめ
弊社からはこの夏、育毛ローションをリリースする予定があります。もちろん度重なるモニタリングにより、確かな効果を検証していますから製品が大変優秀であることに、この事業の可能性を感じています。しかしながら毛髪のお悩みとは外部環境、つまりお客様の生活習慣により改善を強くしていく側面もありますから、本コラムのような基本的な内容をエステサロンでわかりやすく発信できるよう、私たちもプロモーションを強化していく方針であります。