情報が錯綜する現在社会においては、化粧品はエステサロンで選ぶけれども、メイク化粧品は百貨店やドラッグストア・もしくはECモールなどで購入します。ということは、消費者にとって大変不便なことなのかもしれません。フェイシャルの施術・店販の化粧品・自社で開発したOEM化粧品を通じてお客様のスキンケアをサポートしているのであれば、メイクアップ化粧品までトータルでエステティシャンが提案を行い顧客がそれを購入し満足する仕組みを設けて、エステサロンの経営にとっても消費者にとってもwin-winの関係を築いていくことが重要であると、私たちは考えています。
【目次】
1.色を認識することで、エステティシャンは店販売上を上げることができる
2.エステサロンで近年店販が人気なアイテム。アイメイクアップ化粧品について
3.今回のまとめ
色を認識することで、エステティシャンは店販売上を上げることができる
冒頭に触れた仕組みを設けるために、エステティシャンはお客様に合う「色」を認識する必要があります。そもそもポイントメイクアップ化粧品の類は、色で表情を美しく彩っているわけですが、色の認識とは多少複雑で、光が物体に当たって反射し、その光を目が受けとめ、目の細胞が明暗・各色を捉えて脳に伝わるという原理です。例えば「自宅の照明下でメイクした後に、外で鏡を見るとだいぶ印象が違った」ということは女性であれば誰しもあることかと思いますが、これは人工光源か自然光源の違いによって、それぞれの色の見え方が異なるからなのです。自然光源とはもちろん太陽光のことで、青みを帯びたり赤みを帯びて見えるのは、蛍光灯や白熱光といった人工光源といえます。
色は三つの属性が物差しとしてあります。一つは色相で、これは赤・青・黄といった色味・色合いのことです。色味を帯びていると有彩色といい、色味を帯びていないと無彩色といわれます。二つ目は、明度です。明度は色の明るさ・暗さの度合いを指しており、明るい方から光明度・中明度・低明度に分類されています。三つ目は彩度です。彩度は色の鮮やかさの度合いで、色味が冴えた鮮やかな状態から高彩度・中彩度・低彩度と分類することができます。
これらの色認識を用いて、エステティシャンは、リップグロス(口紅)・チークなどを提案すると経営にとって有効的でしょう。唇は皮膚と異なり、皮脂腺が存在せず皮脂膜や角層が極めて薄いため、水分蒸発度が速く角質水分量も少ないことが特徴です。つまり口紅とは、単なる顔色を良く見せるアイテムということではなく、唇のモイスチャーバランスを整える役割も兼ねていた方が優秀な製品だといえるのです。口紅は顔料・油性成分・粘度とのバランスでそれぞれ性質は大きく変わります。口紅はどれも90%以上油性成分が使われているため、油性成分の構成が大きいほどコッテリとしたテクスチャーですし、少なければ少ないほどみずみずしいテクスチャーになるのです。仕上がりはマット・ツヤと2種類に分けられます。マットな口紅は顔料を多めに配合していて乾きやすいことが特徴で、ツヤの出るタイプは顔料が少なく、中にはパール顔料を足している製品なども存在します。近年では唇の印象を色だけではなく形状で変化させるという製品も人気です。成分としてパルミトイルトリペプチド-1が含ませれば繊維芽細胞を活性化させ、唇の縦皺を改善する効果が期待できます。また、ナノ化・カプセル化したヒアルロン酸Naを配合させれば、水分を多く含ませることが期待できます。血行促進を行うカプサイシンも、新陳代謝をアップさせ血行を良く見せることができるので、これも人気といえる成分です。
ベースメイクの総仕上げはチークということになりますが、チークは血色を加えて立体的な頬の膨らみを強調させることができます。チークの処方とはおしろいやファンデーションとほぼ同一です。カバー力はファンデーションと比べて低く、染料は使用しておらず着色顔料が1〜6%程度配合されていることが特徴といえるでしょう。チークの種類は、油分が多く、密着感が高いクリームタイプ・のびがよくうるおいのあるリキッドタイプ・マットな質感のパウダータイプが存在します。
エステサロンで近年店販が人気なアイテム。アイメイクアップ化粧品について
エステサロンの店販人気アイテムとして、アイメイクアップ化粧品も挙げられます。アイメイクアップ化粧品とはその名の通り目周りに使うわけですから、その安全性を問われます。一般的には安全基準の高いものからアイライナー、マスカラ・アイシャドウ・アイブロウということになりますが、これらはすべて規制により配合できる顔料や微生物汚染対策が定められています。配合できる顔料は基本無機系・有機顔料であれば安全性の高い天然色素などといった限りが設けられています。アイライナー・マスカラの筆やブラシは微生物汚染対策として滅菌処理・防腐剤の配合処方などが定められています。
アイメイクアップ化粧品にはアイシャドウ・アイライナー・マスカラ・アイブロウそれぞれに種類や特徴・個人に応じた選ぶポイントが存在します。これらはかなり細かな情報とはなりますが、消費者が感覚的に選定している美容商品をエステティシャンが論理的に見直しアドバイスをすることで、さらに信頼関係は厚くなり、ひいては店販売上の向上に繋がっていくでしょう。
今回のまとめ
エステサロンへの表面的なコンサルティングアドバイスとして、「取り扱う商品数を増やし、購入単価を上げましょう」というものがあります。エステサロン経営者である我々のクライアントはすでに経験されているように、エステ経営とはそのような単純なビジネスではありません。メイクアップ商品を扱うのであれば、まずお客様の肌の基礎を施術や基礎化粧品で整え、それを体感してもらう必要があるのです。
急がば回れという言葉にあるように、売上を上げたいのであれば、一人ひとりのお客様の目標に対する成果及びストーリーを大切にしなければいけないのです。