エステサロンが業績をアップさせるためにもっとも即時的な効果がある戦略が店販強化であり、その中で長期的な視点で見ても利益がより累積しやすいアイテムはスキンケアの基礎化粧品類といえます。ですから弊社ではエステサロンが店販強化を行いたいと意思決定されたとき、丹念にスキンケアの基礎化粧品を仕入れ選定するもしくはOEM事業によりこだわりの商品を開発するよう提案しています。
そしてスキンケアの基礎化粧品の中で、もっとも選定や開発に慎重にならないといけないアイテムは、クレンジング・洗顔化粧品であると私たちは考えています。
【目次】
1.スキンケアの基礎の基礎、洗顔化粧品の種類とその特徴について
2.エステティシャンはアルカリの性質である石鹸の使用もお奨めできます
3.今回のまとめ
スキンケアの基礎の基礎、洗顔化粧品の種類とその特徴について
前回のコラムではクレンジングについての成分や構造・各種類に応じての特徴を理解することが重要であるとお伝えしましたが、これは洗顔にも同じことがいえます。スキンケアの基礎の中の基礎アイテムといわれる洗顔化粧品は、そもそもなぜ必要なのでしょうか?それはもちろん朝・夜どちらとも水だけの洗顔では落ちない汚れがあるからです。朝は睡眠中に分泌された汗や皮脂、付着する埃などがありますし、夜はこれに加え肌の余計な古い角層や油分・汚れがあり、肌にはメイクがのっています。洗顔化粧品には主に2つのタイプがあり、石鹸系洗顔化粧品とアミノ酸系洗顔化粧品です。訴求成分・水溶性成分(保湿剤・アルコールなど)・界面活性剤・油性成分関連を除くと、石鹸系洗顔化粧品は脂肪酸・アルカリが特徴としての配合で、一方でアミノ酸系洗顔化粧品は、アミノ酸系界面活性剤が配合されています。よく「石鹸と洗顔フォームどちらがいいの?」というエステ顧客からのご質問もあるかと思いますが、エステティシャンは一概に賛同や否定はしにくいと思います。石鹸の洗浄力が強いのかというと、洗顔フォームに使われる界面活性剤の種類にもよりますし、洗い上がりの保湿力があるといってもその正体は油性成分のテクスチャーでしかありません。
洗顔化粧品はさらに5つに種別することができ、それはクリームペースト状・固形・液状、粘性液状・泡・粒状、粉末といった形状分類です。クリームペースト状の洗顔は、使用感や泡立ちに優れており、一般ユーザーに人気のあるタイプの製品です。比較的洗浄力が高い固形の石鹸は、つっぱり感を嫌うユーザーも多いです。しかし透明石鹸は機械練りではありませんので、しっとり感を特徴とすることができます。クレンジングジェルといわれる液状、粘性液状の洗顔料は自分に合うものをしっかりと選定しないといけません。というのもクレンジングジェルはアルカリ性から弱酸性まで品質の範囲が広く、そうすると洗浄力が異なるため肌質・ニーズに対して合わないものを選んでしまう可能性があるからです。泡の洗顔は、内容物が液体であり気体と触れ泡になりますから、機能性で選ばれる洗顔製品だといえるでしょう。粒状、粉末の洗顔パウダーは、水をまったく配合させていないことが特徴です。
エステティシャンはアルカリの性質である石鹸の使用もお奨めできます
洗顔化粧品の元祖といえば「石鹸」ということになりますが、この石鹸は実に奥の深い美容商品カテゴリーといえるのです。そもそも石鹸とは大きく2種類の物質から構成されていて、ヤシ油やパーム油由来の油脂・脂肪酸と、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ性物質を配合してできた洗顔化粧品です。原料として用いる油脂・脂肪酸には様々な種類がありますから、それにより溶けやすさ・洗浄力・泡の特性が異なります。また石鹸にも、固形・粉末・液状と形状にもいくつか種類があるのです。こういった石鹸の品質をもっとも簡易的に理解する方法は、石鹸そのものの色を見ることです。透明または半透明の石鹸は「枠練り」という手法で製造されており、保湿力は強いが洗浄力は弱いということが特徴です。具体的にはグリセリン・砂糖などの透明な保湿成分が多く含まれているため石鹸そのものが柔らかいのです。不透明な石鹸は「機械練り」という手法で製造されており、一般的には保湿力が弱く洗浄力が弱いことが特徴です。この原因はグリセリン・砂糖が少なく、石鹸成分の配合が多いことからきています。
またエステサロンが石鹸を販売するとき、顧客によっては「肌は弱酸性なのに石鹸を使っては肌が荒れないか?」という質問があるといいます。結論からいうと、エステティシャンは「問題ありません」と答えることが正しいといえるでしょう。確かに肌はph4〜6.5前後の弱酸性であることに間違いはありません。そしてアルカリ性に肌が偏ると、細菌炎症やアルカリ炎症といった問題が起きやすくなることも事実です。しかしながら私たちの肌には免疫機能があり、その一つに中和能という働きがあります。中和能とは私たちが分泌する皮脂や汗によって肌のph値が弱酸性に戻る働きのことをいい、もとに戻る時間も30分程度しか要しません。
今回のまとめ
エステサロンの人気店販アイテムとして、AHA・BHAといったピーリング石鹸がありますが、これは上記とは逆に酸性の力で古くなった角質を洗い落とす方法です。優秀なエステティシャンはこういったアイテムを誰にでも奨めるわけではなく、特に肌が炎症しているお客様には購入や使用を止める傾向が強いです。なぜならば炎症している肌は「中和能」の機能が衰えているため、肌トラブルを招いたり深刻化するリスクがあるからなのです。