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2023.04.18

OEM化粧品の成分や目的を理解することは、経営のリスクヘッジとなる

弊社のOEM開発サービスのプロセスは、試作品を開発し、そこからテストマーケティングを行い納得のいく化粧品をつくるという流れが基本的なものになります。化粧品のテストマーケティングというと聞こえがいいようですが、細かく地道な検証とエステサロン及び弊社の密接なコミュニケーションが必要とされる難しいアクションです。特にこのすり合わせにおいてもっとも時間や労力がかかるのは「テクスチャー」においての納得感です。もちろん化粧品は肌への効果が最大の目的となりますが、テクスチャーがよくないとエステ顧客にホームケアとして毎日使用されることはありません。そうするとテストマーケティングの際、「テクスチャーをよくしよう」という議題になるのですがテクスチャーを新たにつけるには増粘剤などの化粧品原料の配合設計を変えることが要されます。

【目次】
1.化粧品のテクスチャーは「増粘剤」の配合によって大きく変わる
2.エステティシャンは、化粧品成分の意図も理解することが大切です
3.今回のまとめ

化粧品のテクスチャーは「増粘剤」の配合によって大きく変わる

先日のコラムでは化粧品のクレンジングや洗顔化粧品に用いられる界面活性剤についてフォーカスしたのですが、化粧品にはその他肌へのテクスチャーを決めたり品質保持を目的とした様々な原料が含有されています。その一つが「増粘剤」ですが、これは化粧品のプロフェッショナルであるエステティシャンでもあまり聞き慣れない原料かもしれません。増粘剤は、液体へのとろみづけ・使いやすさ(液垂れを防ぐ)・使用感の向上・水と油の分離を防ぐ乳化安定やゲル化・皮膜形成など様々な役割があり、主にポリマー(高分子)が使用されます。ポリマーとは、小さい分子が鎖のように繋がって大きな分子をつくるものですが、その分子量は万単位・もしくは百万単位にまで及ぶ大きなものまで存在します。粘度調整を行い使用感や使いやすさを向上するものとしては(増粘・ゲル化)、カルボマー・キサンタンガム・ヒドロキシエチルセルロースなどがあり、保湿を保持するものとしてはヒアルロン酸Naやコラーゲンなどがあります。洗浄後の髪や肌の感触を向上させるものとしてポリクオタニウム-7やポリクオタニウム-10があり、メイクアップの色落ちを抑制する皮膜形成効果のあるポリビニルアルコールやコポリマーなどがあります。またファンデーションなどに含有する水に溶けない感触調整剤としてポリエチレン粉末やナイロン粉末などが挙げられます。
また化粧品には、phを調整するためのph調整剤というものが含有されています。肌のphは弱酸性でありますから肌への負担を減らすように化粧品そのものを弱酸性にしたり、化粧品の訴求成分を働きやすい状態に調整する役割があります。例えば酸性に傾ける成分としてクエン酸・リン酸・乳酸などがあり、アルカリ性に傾ける成分として水酸化ナトリウム・水酸化カリウム・アルギニンなどが挙げられます。

エステティシャンは、化粧品成分の意図も理解することが大切です

化粧品の品質保持目的として、キレート剤・酸化防止剤・防腐剤・着色剤といった原料もあります。
キレート剤は、別名金属封鎖剤ともいわれていますが、金属イオンによる化粧品の劣化を防ぐ成分です。化粧品には金属イオン・ミネラルが含有されるものがありますが、通常であれば品質が劣化したり機能を低下させるといった現象を招きます(温泉水で石鹸の泡立ちが悪くなるのはその典型だといえるでしょう)。キレート剤は金属イオンと強く結合することで金属イオンの働きを封鎖します。その主な成分はEDTA・クエン酸・エチドロン酸になります。
ビタミンE(トコフェロール)は、酸化防止剤として化粧品に多く用いられています。化粧品の中の油性成分には酸化しやすいものがあり、そうすると異臭を出し肌への刺激をもたらす可能性があるのです。
一般消費者に「防腐剤」は嫌われがちですが、これも必要な化粧品成分です。なぜなら化粧品にはアミノ酸や糖類・天然油脂などカビや微生物が好む成分が使われますが、防腐剤はそういった微生物の混入や繁殖から製品を守ってくれる成分であるからです。化粧品は食品よりも使用期限は長いですし、指から微生物が混入するリスクも高いことから、長期間化粧品の品質を安定させる防腐剤の添加は欠かせないのです。代表的な防腐剤成分としてはパラベン(パラオキシ安息香酸エステル)があり、その他にフェノキシエタノール・安息香酸塩・ヒノキチオール・エチルヘキシルグリセリンなどが挙げられます。パラベンは皮膚への刺激に多少はなりますから、敏感肌の方はなるべく抗菌力の低いものを選ぶといいでしょう。抗菌力の低いものから順にメチルパラベン・エチルパラベン・プロピルパラベン・ブチルパラベンと挙げられます。近年の化粧品開発技術は高く、BGやペンチレングリコールとの組み合わせで制菌効果を組み合わせているため防腐効果・安全性を両立させることができます。

今回のまとめ

「我社の開発したOEM化粧品は防腐剤フリーです」と広告を打っている美容メーカーやディーラー・エステサロン商品がありますが、この多くの実態は単なる「パラベンフリー」であったりします。
上記が真実であればこれは違法広告になりますから、化粧品原料の目的や構造を知ることは、プロモーションにおけるリスクマネジメントに繋がるともいえるでしょう。