厚生労働省の事務局が公開するWebサイト「働く女性のからだと心の応援サイト」では、働く女性に役立つ睡眠情報が載っています。それを要約すると、以下のような内容になります。
厚生労働省の最新の調査結果によると日本人(内成人)の標準的な睡眠時間は7時間未満であり、また、6時間を下回る方の多くは仕事・家事・育児に忙しい40代の女性が高い割合を占めています(エステサロンに来客する層もこの年代がもっとも多いといえます。)。当然健康・美容を保つためであれば、程よい睡眠時間の確保が大切です。睡眠時間が取れない・質が低い状態が続けば、身体や心に様々な不具合が生じます。具体的には脳機能の低下・高血圧やⅡ型糖尿病といった生活習慣病のリスク増大・免疫力の低下など、美容を支える健康基盤に大きなひびが入るのです。
【目次】
1.エステティシャンの正しいカウンセリング戦略。化粧品と睡眠について
2.エステサロンにアロマオイルが置かれ、また物販でも売れる理由について
3.今回のまとめ
エステティシャンの正しいカウンセリング戦略。化粧品と睡眠について
弊社はこのコラムやエステサロンでのあらゆる打ち合わせにおいて、「ホームケアの重要性をエステサロンは発信するべきだ」という意見を述べることが多いです。エステティシャンが発信する具体的なホームケア方法というと、フェイシャル化粧品・ボディ化粧品を使ったいわゆる「スキンケア・スリミングケア」などが挙げられます。また、フェイシャル化粧品やボディ化粧品は身体の肌や体質に対してアプローチする商材ですので、エステメーカーやエステディーラーでただ売れている商品を選定するわけではなく、エステティシャン自らがモニタリングしたり、できればこだわってOEM開発した化粧品を提供することも大切な戦略といえるでしょう。但し繰り返しにはなりますが、化粧品で肌が綺麗になったり、身体が引き締まったりするためには、エステに通うお客様が十分で質の高い睡眠時間を確保できていることが前提条件です。
よく「美肌への早道は睡眠」とエステサロンの標語を見かけます。特に眠り始めの3時間前後で深い眠りの成長ホルモン分泌が盛んになり、分泌した成長ホルモンは食事で摂った栄養を吸収することで細胞はどんどんと活性していきます。表面に出てくる肌は結局一つひとつの肌細胞とターンオーバー機能により形成されていますので、成長ホルモンの分泌がいかに美肌と直結しているかということを、お客様にカウンセリング時ではお伝えするべきでしょう。また、午後10時〜午前2時が肌のゴールデンタイムともいわれていますが、「どの時間に寝るか?」ということよりは、「どれくらい熟眠できたのか?」という点をエステティシャンはヒアリングしなければなりません。
エステサロンにアロマオイルが置かれ、また物販でも売れる理由について
「一日一日しっかりと熟眠すること」の重要性を伝えられれば、エステティシャンが次に顧客にカウンセリングするべきは、「熟眠の阻害要因」についてです。熟眠の阻害要因は主に3つがあり、まず一つは携帯電話です。携帯電話は画面からブルーライトを発しており、このブルーライトは睡眠を安定させる「メラトニン」物質の分泌に邪魔をします。現代では老若男女問わずスマートフォンは常時枕元にある習慣の方がどうしても多いですが、こういった習慣を回避することから「良質な睡眠生活」を始めましょう。またメラトニンの観点でいうと「照明を消すこと」も重要です。強い光を浴びるとまた、メラトニンが分泌されにくくなります。3つめは、「飲み物」です。通常の生活リズムであれば、夜8時以降にカフェインが含まれたコーヒー・緑茶・紅茶などを口にすることを控えた方がいいでしょう。エステサロンの物販では「カモミール」などのハーブティーが人気ですが、これはノンカフェイン且つ眠気を誘う夜の飲み物というキャッチコピーだからです。
現在あらゆるエステメーカーやエステディーラーでは、ラベンダーやマンダリン・カモミールなどのディフューザーが販売されていますが、これはエステサロンの施術ルームなどに用いられる動機で購入が進んでいるという現象です。フェイシャルエステもボディエステも交感神経優位が抑えられた(つまり睡眠に近い)状態が効果を出しやすいことから、こういった定番の物販アイテムが生まれたのです。
今回のまとめ
エステサロンでは細やかにサーカディアンリズムについてお話されることが多いとは思いますが、もっとも基本的なサーカディアンリズムとは、毎朝同じ時間に太陽の光を浴びる・朝食をしっかり食べる・夜に強い光を浴びない・睡眠の量と質を上げる。これだけです。
もちろん睡眠の質を上げるために「エステサロンで枕を物販する」という単発的な戦略も間違ってはいません。しかしながらお客様のサーカディアンリズムがずっと乱れた状態であるならば、いかにエステティシャンが献身的に実務を行ったとしても、健康・美容の目標からはどんどんと遠のく結果になるでしょう。