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2023.04.01

施術で使うエステマシーンと、消費者庁が発信する消費者リスクについて

消費者庁は先日3月29日、消費者安全調査委員会を通じてエステティックサロンが施術に用いるHIFU(高密度焦点式超音波)に関する問題点を受け、発表を行いました。発表の内容は医療問題弁護団を通じ、HIFUにより生じた消費者被害の救済を行うことを目的として4月2日から電話相談窓口を開設するというものです。
同委員会では2015年から2022年の12月にまでわたり調査を行い、HIFUによる被害は135件にまで及びそのなかの8割がエステティックサロンで行われたものであることも報告されました。
近年では美容・健康・癒やしに対する意識の高まりが成長するとともに、全国の消費者生活センターにはエステサロン・美容医療サービスについての相談が多く寄せられてもいます。もちろん消費者自身が氾濫する情報を整理し自己責任で判断していくことは重要ではあります。しかしながら一定の被害レベルを超えると話は別です。そうなると行政としては当然、制度上の課題を見直し、また改善が行われていきます。

【目次】
1.エステマシーンは、商品選定や自店舗でのモニタリングが重要である
2.エステサロンは要確認。HIFUに関する行政の見解について
3.今回のまとめ

エステマシーンは、商品選定や自店舗でのモニタリングが重要である

HIFUを導入しているエステサロンはもちろんですが、導入していない・今後の導入を考えてもいないエステ事業者でも、この件はしっかりと現象として理解し、自社が扱うエステ手技や機器・店販商品に置き換えて対策をシミュレーションしておく必要があります。事実PIO-NETに登録された危害情報は毎年1万件を超えていますが、上位3項目は美容健康に関わる施術や商品が例年記録されています。
記録の例が痩身エステサロンであれば、施術を受けた際、全身マッサージや腹部等の吸引を行った後、施術部位に痛みや痒みが出てきたという訴えが挙げられます。この顧客は3日後に痛みはようやくおさまりましたが、痒みがひどくなり全身に湿疹が出たので、国民生活センターに報告し一定の手続きを行っています。またフェイシャルエステサロンに通うとある顧客からは、美顔ローラーを使った美顔マッサージを受けた後、顔が腫れたという被害報告もあります。当該顧客については、その後エステティシャンの促しにより皮膚科で診察を受けたところ、金属の摩擦による皮膚炎と医師に判断されました。
私たちはこのような事例を通じて「美容機器の一切を否定する」わけではありません。但し身体に良くも悪くも負荷をかける美容機器の選定及び取り扱いに関しては、当事者であるエステティシャン・仕入元となる製造、販売メーカーが一体となってリスクマネジメントに取り組まないといけません。具体的には使用機器に関するガイドラインチェック・使用するエステティシャンの技術・エステティシャン自らがモニターとなり施術中の痛みや副反応のチェックをするというアクションが挙げられます。

エステサロンは要確認。HIFUに関する行政の見解について

消費者安全調査委員会はHIFU施術を利用するエステサロン顧客1,000名及びHIFUを扱うエステ施術者269名にインターネットを通じてアンケートを行いました。調査の結果、エステサロンがHIFU施術を行う、また同機器を取り扱うことに主に4つの問題が浮上したのです。一つは施術者に対する機器・施術方法の教育が十分でないこと・二つ目は施術を受けるエステ利用者への説明が十分でないこと・三つ目はエステ利用者がHIFU施術のリスクを認識していないこと・そして四つ目がもっとも重大であり、エステ利用者の約10%がHIFU施術を受けた後に、痛みや違和感があったということです。具体的な参考文献として「HIFUによる事故の報告書」が同委員会より近年提出されています。
上記を含めて私たちがお伝えしたいことは直ちにHIFU施術の取り止めることを推進したいわけではありません。正しく現状を理解するのであれば、同委員会は厚生労働大臣に対して「医療行為としてHIFU施術を行える施術者の制限を行い、輸入機器の監視体制を強める」要請を行っているということです。

今回のまとめ

HIFUについては今後消費者庁の情報発信に私たち美容事業者は過敏になることが重要であるといえますが、エステサロン内のコミュニケーションを見直すことも同時に大切であるといえるでしょう。
本調査が行われた発端は、HIFUというエステティックマシンの機能によるものだけでなく、エステサロンを利用する顧客と、エステティシャンのコミュニケーション不足が招いていることも一因です。エステサロンでは百貨店やドラッグストアと違い、お客様の肌や身体を直接的に施術するサービスが存在します。であれば、行う施術・使用する業務用、店販用化粧品等に対する解説は、カウンセリングでしっかりと行う必要があるでしょう。