資生堂ジャパン株式会社が2021年10月にプレスリリースをしたマーケティングデータで以下のようなものがありました。テーマは「過去から現在にかけての紫外線関わりと現在の肌状態の実感について」という内容で、調査対象559名・20〜60歳の女性を対象とし、「意図的に日に焼けて黒くなったことがある」「意図的ではないが日に焼けて黒くなったことがある」「日に焼けて黒くなったことがない」3グループに分けて調査を行いました。調査の結果は報告概要から抜粋すると、意図はどうあれ日に焼けたグループは「年々肌が衰えた気がする」「化粧水や美容液など肌にいいものを入れていきたいが、なかなか吸収しづらい」という実感があると答えています。具体的には「意図的に日に焼けて黒くなったことがある」グループのほうが「日に焼けて黒くなったことがない」グループの約1.2倍肌の衰えを年々感じる実感が強いと答え、化粧水や美容液など肌にいいものを入れていきたいが、なかなか吸収しづらいという答えも同じく、意図的に日に焼けて黒くなったことがあるグループが1.3倍も実感しているというデータが取れました。
つまり紫外線への対策が疎かであるお客様は、肌が老化しやすいことはもちろんのこと、エステサロンで販売するOEMや店販化粧品の効果が極めて出づらく、つまりリピートがされにくいということが明らかになったのです。
【目次】
1.エステサロンでは、SPFをただの値だけではなく定義も教えることが重要
2.日焼け止めの選び方教育は、エステティシャンの大切な務めである
3.今回のまとめ
エステサロンでは、SPFをただの値だけではなく定義も教えることが重要
以前から「紫外線対策を行うお客様は、美容知識が豊富である」ということをコラムでは伝えていますが、であればエステサロンは施術や店販を行うだけでなく教育もしっかりと行っていかなければなりません。紫外線といえば「サンケア指数」、つまりSPFやPAという値があります。これはUV化粧品が肌に影響のある紫外線(UV-A・UV-B)を防ぐ効果をわかりやすく示した値ですが、一般消費者はその意味までもあまり理解していない方がまだまだ多いです。
SPFとはSun Protection Factorの略でUV-Bの防止効果を表す数値です。肌が赤くなってヒリヒリする日焼け(サンバーン)を起こすまでの時間を何倍に延ばせるか?ということが目安になっています。具体的に数値で示した例を出すと25分で赤くなる普通肌の人がSPF24のUVケア化粧品を使う場合、塗らなかったときの24倍の時間(10時間程度)肌が赤くなることを防ぐということです。日本化粧品技術者会誌の「日やけに影響する生物的物理的要因について」を参照すると、日本人の場合、真夏の晴れた海浜では色白の人で20分・普通肌の人で25分・色黒の人なら約30分でサンバーンを起こすといわれています。
日焼け止めの選び方教育は、エステティシャンの大切な務めである
PAは、Protection Grade of UV-Aの略でありUVAPF(UV化粧品を塗った皮膚がすぐに黒くなる紫外線A波の量から、UV化粧品を塗らなかった皮膚がすぐに黒くなる紫外線A波の量を割り算した数値)の値を目安に「+」の数でUV-A防止効果を表したものです。つまりUV-A照射後、2〜24時間に生じる皮膚の即時黒化を指標にした値であるということです。分類表示は4つです。PA+であれば効果あり・UVAPFは2以上4未満、PA++であればかなり効果あり・UVAPFは4以上8未満、PA+++であれば非常に効果あり・UVAPFは8以上16未満、PA++++であれば極めて高い効果・UVAPFは16以上を示しています。
エステサロンのカウンセリングでは、SPFやPAについてこういったデータをもとに「生活シーンに合わせた日焼け止め」を選べる力をお客様に教育する必要があるでしょう。
今回のまとめ
エステサロンの「生活シーンに合わせた日焼け止めの選び方」で用いられるカウンセリングとして主に3つの基準で語られることが多いです。日常生活(散歩や買い物程度)であればSPFは10〜20・PA++以下・屋外での軽いスポーツやレジャーなどではSPFは20〜30・PA+++以下・海や山でのスポーツやレジャーではSPFは30〜50・PA++++以下といったカテゴリー分けです。
よく「UV化粧品はエステの店販商品を購入しているが、1年に1本ほどの使用量」という方にありがちな間違った使い方が、(UV化粧品は液状・乳液が前提)お顔全体の使用量を1円玉未満・2〜3時間毎に塗り直さないというケースです。これではせっかくエステサロンでスペックの高いUV商品をOEM開発・物販をしても、お客様の肌に対する効果効能は発揮することはできません。