大塚製薬株式会社は、2021年9月にも女性の健康と仕事に関する調査を行っております。その一部をご紹介します。20〜44歳女性で正規雇用の会社員・公務員1,600人のうち、PMSを自覚し日常生活に支障をきたすと回答した400人を対象にPMSに関する3つの仕事への意識調査を行いました。一つはPMSを「会社では誰にも相談できない」と答えた方は全体の59%に及び次の調査は「会社内で責任が上がれば上がるほど人に相談できない」と答えた方は63%にも及びました。私たちがもっとも気になったデータは、「自分の身体のことであり、仕事に支障をきたしたり影響があってはならない」と答えた方が44%にも及んだということです。つまり年々企業を含めた社会にはより多くの女性が参画・活躍をしていますが、ともに身体の不調を活動中訴えができない女性も多く輩出しているということになります。
エステサロンの社会的存在意義は、こういった社会背景をもとにどんどんと高まっていくことが予測されるといえます。
【目次】
1.エストロゲンは、現代のエステ産業におけるマーケティングキーワード
2.黄体期にはニキビができる。エステティシャンがお客様に伝えるべきこと
3.今回のまとめ
エストロゲンは、現代のエステ産業におけるマーケティングキーワード
エステサロンのカウンセリングツールとして卵胞期・黄体期といった時系列上に起きる身体の不調を表すツールを用意し、その原因を言語化することでお客様の心理的不安が和らぐことがあると、前回のコラムでは事例をお伝えいたしました。そしてもし30分程度のカウンセリング時間があるエステサロンであれば、卵胞ホルモン(エストロゲン)・黄体ホルモン(プロゲステロン)の特徴や作用まで言及するとさらに説得力が増し、信頼が獲得しやすいでしょう。
卵胞ホルモン(エストロゲン)は、月経後に増える物質で妊娠に向け卵胞の発育や子宮内膜を厚くする特性があり、骨形成に重要な役割を果たすといわれています。肌や髪への作用としてコラーゲンを増やしハリを出すことや毛髪を健康的に保つ美容効果も備えています。また卵胞ホルモン(エストロゲン)は、抗酸化作用を強める効果があるともいわれており、大豆植物から採取される成分にも注目が集まっています。
黄体期にはニキビができる。エステティシャンがお客様に伝えるべきこと
このように卵胞ホルモン(エストロゲン)は、肌のハリ・毛髪の健康・身体全体の抗酸化など、あらゆる有用性から美容への関心が過熱的に高まっています。しかしながらお客様にお伝えいただきたいことは、卵胞ホルモン(エストロゲン)を高める・あるいは摂取することに躍起になるのではなく、大切なことは黄体ホルモン(プロゲステロン)とのバランスを保つことであると伝えていただきたいのです。黄体ホルモン(プロゲステロン)は、排卵後から増える物質であり、受精卵が着床しやすい状態になるよう働きます。身体への役割としては基礎体温を上昇させたり、体内の水分を保持するなど、大切な生命・美容活動を担っているといえるでしょう。私たちが黄体ホルモン(プロゲステロン)に対してそこまでいい印象を持たない理由として「ニキビを発症させる原因になることがある」ということです。しかしこれもバランスですから体内の異物を免疫として吐き出していると考えれば、周期によって肌トラブルは正常な活動の一部だと、エステサロンではお客様を励ますことができるのです。
今回のまとめ
テレビ・雑誌といったマスメディアでは特に「エストロゲン」というキーワードがマーケティングの起爆剤となっており、その成分を含有するサプリメントが販売されるとエステサロンやECサイト・テレビショッピングなどあらゆる販路の売上が上がります。
その原因は何か?答えは年齢に伴い、体内の卵胞ホルモン(エストロゲン)が減少することが挙げられます。エストロゲンは生理の始まる思春期から増え、30代後半から減少が始まります。そして50歳前後の閉経を迎えるころには急激に低下するのです。エストロゲンの一定範囲を超えた乱高下の原因は生活習慣の乱れに起因しますから、サプリメントの摂取だけでなく、日常の活動アドバイスを行うことがエステティシャンにとって大切な役割の一だといえるでしょう。