大塚製薬株式会社は、2022年の4月「女性の健康に関するインターネット調査」を行いました。対象者は全国の35〜59歳を範囲にした日本人女性2,777名です。女性の社会進出は加速しその活躍も大いに期待される一方で、PMS(月経前症候群)や更年期の諸症状など女性特有の健康問題が深刻化しています。調査内容の一部に、女性ホルモンが関与する不調に対する対処方法は?といったものがありました。ここで細かいデータは割愛いたしますが、セルフケアの有無問わず、「医療機関の利用経験が今までない」と答えた方は59%にも及びました。
エステサロン経営はお客様を美しくするだけでなく、健康面もサポートする事業です。お客様にとってもちろん、医療機関で治療を行うことも重要ではあります。しかしながらエステサロンに通いカウンセリングを受け、生活習慣を見直し、日々施術とホームケアで予防を行うことも同等もしくはそれ以上に大切です。
【目次】
1.「ホルモンバランスを整える」で終わらず、エステサロンはその先を示唆
2.エステサロン内のカウンセリングツール案。PMSの時期と症状について
3.今回のまとめ
「ホルモンバランスを整える」で終わらず、エステサロンはその先を示唆
「ホルモンバランスを整える」といったキャッチコピーはよく美容事業者の広告文言などで目にします。エステサロンは物品だけではなく正しい習慣をお客様に与える必要があるでしょう。お客様の習慣を変えるのは知識であるとするならば、ホルモンとは一体何なのか?といった問いを整理してあげなければいけません。
加齢によって身体は変化していきますが、若さを保つ2つのホルモン分泌量も減少します。一つは卵胞ホルモン(別名エストロゲン)ですが、卵巣から分泌される卵胞ホルモンは肌の弾力を保つコラーゲン繊維を増やし、肌の水分を保持する作用があります。この卵胞ホルモンは、30代後半から徐々に減少し、そうすると肌老化が進みやすくなるのです。もう一つが脳下垂体から分泌される成長ホルモンです。成長ホルモンは大人になると肌組織を修復する重要な役割を果たします。成長ホルモンは睡眠時に分泌されるので、やはり美容にとって睡眠は大切な役割だといえるでしょう。
また黄体ホルモン(プロゲステロン)は生理前に分泌されるホルモンで、皮脂分泌を促進し、その結果肌にニキビを発症させる原因となります。感情的になりやすくなったりむくみのもとになるのも黄体ホルモンが関わっています。
成長ホルモンが分泌される流れとしては視床下部から脳下垂体を辿るのが経過であり、全身・肌の代謝を高める作用があります。一方女性ホルモンの流れは、視床下部から脳下垂体、性腺刺激ホルモンを経過し卵巣を流れ黄体ホルモンか卵胞ホルモンを分泌します。
エステサロン内のカウンセリングツール案。PMSの時期と症状について
卵胞ホルモンと黄体ホルモンの分泌量は、肌のターンオーバーと同様に28日周期で変化をします。冒頭でPMS(月経前症候群)という症状の名が出ましたが、この周期が大きく関与しています。PMSとは生理が始まる前、排卵後から約14日間に起こりやすい苛立ち・腹痛・眠気・頭痛など不快な症状を包括してPMSといいます。PMSが起こる原因は諸説ありますが、排卵後の黄体期に分泌される卵胞ホルモンと黄体ホルモンの大きな変動なのではないかというのが、主流の見方といえるでしょう。
これまでに挙げた知識の因果や付随事項について、エステティシャンは多くをキャリアで学び解決をしています。しかしながら一般消費者はそうではありません。人体の図を使ったホルモンの解説・卵胞期や黄体期の症状がグラフを使って表されるなど、エステサロンの空間内でツールなどを活用することも有効的ではないでしょうか。
今回のまとめ
エステサロンに通う方々の多くは女性であると思いますが、現代の女性は家庭での役割・社会での役割・個人としての役割など、多岐に渡る立場がありそれぞれに期待が加わる傾向にあることは事実です。
エステサロンに「家庭や職場で苛立つことが多く、自分が腹立たしい」と、お客様がコミュニケーションを取ってこられたら、「あなたのせいではなく、ホルモンのせいですよ」とアドバイスをしてあげることもときには大切なのかもしれません。