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2023.03.17

ステルスマーケティングを考える。エステサロンと広告規制について

SNS上でとある匿名アカウントが多くの美容商品を紹介し宣伝として使われていたことを、化粧品メーカー企業が謝罪をしたニュースが出たのは2021年の1月でした。問題になったのは謝罪した化粧品メーカー企業の広報担当の従業員が身分を隠し一般人を装ってPR活動を行ったことであり、消費者からは「ステルスマーケティングである」と数々の指摘を受けたことが発端であります。
以前ステルスマーケティングで問題になった事案としては、ソニーゲートキーパー・yahoo知恵袋やらせ投稿・バイク王比較サイト・ペニーオークション・食べログなどが挙げられます。SNSが普及している現在、美容業界でもこういった過去の他産業の失敗を繰り返しかねないマーケティングが散見しており、弊社ではそういったプロモーションを大きなリスクであると考えています。

【目次】
1.エステサロンはいま、ステルスマーケティングから脱皮するべきである
2.エステサロンが優良誤認表示・有利誤認表示に抵触する事例について
3.今回のまとめ

エステサロンはいま、ステルスマーケティングから脱皮するべきである

今年の1月、とある美容サプリメントメーカーが「豊胸効果」を謳う広告をステルスマーケティングの手法で行ったことに対し、消費者庁は景品表示法の優良誤認表示にあたるとし、課徴金納付命令を出しました。課徴金の額は約1億1,700万円にものぼったことをニュースが伝え、美容業界にも大きな激震が走りました。
ステルスマーケティングの性質は「広告であることを隠し発信する」ことで、現状日本では法規制がありませんが、経済上のその他先進国ではどんどんと違法となる流れをとっており、国内もそれに習う動きが多々出てきています。消費者庁では昨年の2022年9月〜12月にかけて「ステルスマーケティングに関する検討会」を重ねており、同年12月28日にはステルスマーケティングに関する検討会の報告書を提出もしています。

エステサロンが優良誤認表示・有利誤認表示に抵触する事例について

エステサロンを経営、またはマーケティングを行うことに際しては、ステルスマーケティング規制の土台となる景品表示法について大枠でも理解をすることが大切だと私たちは考えています。そもそも景品表示法の表示規制とは3種類に分類されています。優良誤認表示・有利誤認表示・その他の不当表示です。
優良誤認表示の対象は商品とサービス、つまりエステサロンであれば店販で提案する化粧品やサプリメント・美顔器や施術サービスが該当します。景品表示法第5条によると優良誤認表示とは、商品やサービスに関して実際のものよりも著しく優良であると示す表示のこと・事実に相違して当該事業者と同種か類似の商品、サービスを供給している他の事業者のものよりも著しく優良であると示す表示のことを指しています。要約すれば実際の商品・サービスよりもはるかにいいものだと消費者に思わせること、事実でもないのに他の競合事業者の商品やサービスよりもはるかに良いものと思わせる表示は違法であるということです。エステサロンでは「当店舗で取り扱う化粧品を使うと肌年齢が5歳若返ります」(これは薬機法も含め二重に違法)「地域のエステサロンで痩身施術満足度がナンバー1」という触れ込みの広告などが散見しておりますが、これらは優良誤認表示に抵触する可能性が著しく高いといえるでしょう。
同じく景品表示法第5条によると有利誤認表示とは、実際のものよりも著しく優良であると示す表示のこと・事実に相違し当該事業者と同種が類似の商品・サービスを供給している他の事業者よりも、取引の相手方に著しく有利であると一般消費者に誤認させる表示のことを指します。言い換えれば、実際の価格、その他の取引条件よりもはるかに良いものだと思わせる表示であること、事実でもないのに他の会社の実際の価格、その他の取引条件よりもはるかに良いものだと思わせる表示を指すということです。エステサロンでは、「全身脱毛は通常80万円の契約ですが、今日契約すれば40万円です」という営業上のクロージング・「同じ痩身機器を使った店舗の中で、当店が一番安い価格で施術を受けることができます」などの広告触れ込みが該当するでしょう。

今回のまとめ

SNSの普及により、より加速的なWebマーケティングを実践できることは決していいことだけではありません。商品・サービスの実態と広告文言の大きな乖離・口コミと偽った営利関係者の発信などは、レピュテーションリスクに収まらない可能性があるということを、私たちエステ事業者は認識しないといけないでしょう。