前回のコラムでは、春のエステメニュー・店販のテーマともなる「シミ対策」について、シミの原理と医薬部外品の有効成分特徴及びそのアプローチについてのカウンセリング例をお伝えしました。エステに通うお客様は一般消費者でありますから「シミが害」という概念の方もまだまだ多いと思います。しかしながらシミとは刺激(特に紫外線)から体内の細胞を守る免疫システムですので、過剰ではなく最適にアプローチする施術や店販商品選定を行うことに気をつけていただきたいものです。またエステサロンでも取り扱える医薬部外品にあたる化粧品の有効成分としてエナジーシグナルAMP・リノール酸S・エラグ酸・4MSK・m-トラネキサム酸・ビタミンC誘導体・アルブチン・コウジ酸・マグノリグナン・ルシノール・カモミラETがあり、それぞれメラニン排出促進・チロシナーゼの分解、活性阻害、成熟阻害・抗炎症・メラニン生成の司令阻止等を行っていることを、表皮の断面図解で示すことは重要なカウンセリングといえるでしょう。
【目次】
1.エステサロンは「化粧品屋」ではなく、「お悩み改善機関」である
2.エステ顧客には、4種類のシミタイプと解決方法の理解を促しましょう
3.今回のまとめ
エステサロンは「化粧品屋」ではなく、「お悩み改善機関」である
しかしエステサロンは、「化粧品屋」ということではありませんから、肌の断面図解や化粧品成分の有効性をビジュアル化したり語ったりするだけでは、それをカウンセリングとはいえません。エステティシャンのゴールはあくまで「お客様のお悩み改善」ですから、例えばシミ対策の一つをとっても、シミの種類やその特徴・原因と解決方法をお伝えすることで、正しいマーケティングを達成することができます。わかりやすい事例として「すべてのシミは美白ケア」という一般消費者の間違った考え方です。シミの種類は4つに分かれており、頬の高いところにできやすい老人性色素斑・頬や鼻を中心に散らばるように分布する雀卵斑(そばかす)・ニキビ跡や虫刺され、傷跡が残った炎症後色素沈着・頬骨あたりに左右対称にできるものとして肝斑があります。エステティシャンはその特徴を見極めエステ施術や店販をお奨めしますが、より顧客のリピート率を上げるためにはある程度の知識を消費者も肥やすようにアプローチすることが適切でしょう。
エステ顧客には、4種類のシミタイプと解決方法の理解を促しましょう
老人性色素斑であれば、丸い色素斑で薄い茶色から次第に濃くなっていくため、一般消費者も見極めが容易いと思います。老人性色素斑は紫外線の影響や肌の老化によってメラニンが蓄積するものですから、エステサロンはもっともこの対策を重点的に打ち出すことが必要でしょう。基本的なお手入れとしては紫外線を避けUVケア商品で紫外線を防ぐことが重要で、薄ければ化粧品・医薬部外品での対策が適切です。しかしながら濃い場合は、レーザー治療などを検討してもらうことも、他店の宣伝にはなりますが誠実な対応ではないでしょうか。雀卵斑は一般的に遺伝的な要素と紫外線の影響が強いといわれていますから、美白系統の医薬部外品や化粧品ではなく、UVによる予防を徹底しなければなりません。炎症後色素沈着は、ニキビ跡・虫刺され・傷跡・毛抜きが原因で赤や黒の色で残っている状態です。この場合、美白系の医薬部外品・化粧品が有効的ではあるのですが、洗顔時などに刺激を高めると、メラニン合成を促進することがあるので気をつけなければなりません。そして炎症後色素沈着は、レーザー治療は禁忌事項です。お客様が検討されていたらしっかりと制止してあげる必要があるでしょう。もっとも難しいといわれる肝斑ですが、肝斑の原因は紫外線だけではなく、女性ホルモンのバランスが崩れたときに発症が多いといわれています。そのため、妊娠中・ピルを服用するお客様・更年期の状態等が原因要素の一部として挙げられるため、紫外線対策・美白系の医薬部外品・化粧品の使用・内服薬のトラネキサム酸・ソフトな洗顔等、複数のケアを行わなければなりません。エステサロンでは、上述したようなエステティシャンが持つ専門的知識をWebマーケティングではコラムで、エステサロンの内部環境であればカウンセリングブックやPOPでしっかりとマーケティングを行う必要があるでしょう。
今回のまとめ
私たちはエステサロンにとって最適なマーケティングとは、どれも極めて農耕型のモデルであると考えています。その典型的であるのが「顧客育成プログラム」だと思うのですが、顧客育成プログラムとは「長期コースの契約を取ること」ではありません。本当の意味での顧客育成とは、エステサロン(エステティシャン)のコンセプトにゆっくりでもいいので共感していただいたり、美容や健康目標をともに掲げ伴走できたり、エステティシャンが作成したプランの意味や背景を理解するといったことだと私たちは考えます。