今後のエステサロン集客において、Webマーケティングが主体な活動であることには間違いがありません。しかしながらWeb(弊社が推奨するのは自社HP)サイトはカタログやチラシとは性質が違います。それは見込み顧客・それ以外の競合業者・行政機関の職員など、実に多くの人たちが簡単にアクセスをすることができるといった点で、この特徴はリターンも大きくなればリスクもそれに伴い大きくなるということです。弊社の業務内容の一つとして、エステサロンの自社HPテキストライティング及び修正サービスがありますが、これはリスクマネジメントの一環になります。美容メーカー・ディーラー・エステティックサロンは「誇大広告」と指摘されるWebサイトが多いため、そういった要素を最終的には排除してWebサイトを公開する必要があるでしょう。
【目次】
1.「シミがなくなる化粧品」の宣伝は、薬機法・景品表示法の抵触リスク
2.化粧品メーカー広告が「優良誤認表示」になった具体的な事例について
3.今回のまとめ
「シミがなくなる化粧品」の宣伝は、薬機法・景品表示法の抵触リスク
つい先日である2023年2月28日に、政府は「誇大広告」等の不当表示の対策を強めるために、景品表示法の改正案を閣議決定しました。Webマーケティングの急速な普及により、2014年には6,000件台であった違反件数は、2021年ではほぼ倍増といえる12,000件以上をマークすることになります。政府はこれに抑止力を働かせるため、改正案として不当表示の差し止め等に対し措置命令を行わず100万円以下の罰金を科すことができる・課徴金は売上の3%から1.5倍に増額など、違反する企業により厳しいペナルティが課せられることになったのです。特に課徴金制度の対象となる「優良誤認表示」(その他は有利誤認表示もある)は、エステサロンがWebマーケティングを行うにおいて、その性質を理解する必要があるといえるでしょう。近年の京都地裁の判例では、「医薬品としての承認がされていない商品について、医薬品的な効果や効能が表示されている場合、当該表示は一般消費者に対し、その商品があたかも厳格に審査され承認を受け、製造・販売されている医薬品であると誤認を引き起こす可能性があるから、景品表示法の優良誤認表示にあたると認めることが相当である」と出ています。つまりエステサロンが広告において「当エステサロンが取り扱う化粧品を使うとシミがなくなります」と例えば書いた場合には、薬機法第68条だけではなく景品表示法の「優良誤認表示」も併せて抵触と判断される可能性があることを示唆しているのです。
化粧品メーカー広告が「優良誤認表示」になった具体的な事例について
例えばとある国内の美容化粧品メーカーの事例ですが、化粧品を宣伝するチラシの文言として、生命体を配合した日本初の化粧品・生命体なら62歳でもここまで若く・生命体なら54歳でも理想の肌に・8倍の効果等の表現がありました。これに対し消費者庁は、景品表示法第7条第2項に基づき、企業側へ当該表示の裏付けとなる合理的な根拠を示す資料の提出を求め、企業もそれに応じました。しかしながら当然提出された資料からはこのような根拠を示すものは認められなかったため、この広告は優良誤認表示に該当すると判断をされました。またその他の表現でも「化粧品は国連から特別功労賞を受賞している」という内容の宣伝がありましたが、本件に該当する化粧品に用いられている技術ではこのような事実はなかったため、これもまた優良誤認表示に該当すると判断をされました。
今回のまとめ
私たちは、エステティックサロンが美容メーカー事業を行うことを理想の一つに掲げ活動をしていますが、「売上の柱が増える」「施術以外で利益を上げられる」といったメリットだけをお客様に伝えているわけではありません。OEM化粧品を開発し美容メーカー事業を行うのであれば、当然自社でプロモーションの計画を立て、実行していかなければなりません。OEM化粧品は、長く売れ続けなければ費用対効果は合いませんから、プロモーションは「売上を上げること」と同等に「誇大広告など不健全な宣伝内容が出ないようマネジメントする」ことが大切だといえるでしょう。