以前リクルートが全国14都道府県で行ったエステサロンに通うユーザーアンケートの調査レポートでは、「エステサロンの店販商品を購入した動機について」というものがあります。その結果、エステサロンの店販商品を購入した動機として圧倒的に多かったのは、「担当するエステティシャンにお奨めされたから」というもので、68%がその回答でした。エステサロンオーナーと面談する際、「先月は店販がよく売れたのですが、それはキャンペーンを行っていましたから」というご意見もありますが、キャンペーン・セールを行っているから店販商品を購入したという理由は僅か14%でした。ここからは私たちの推察ですが、なぜエステサロンの店販商品売上はこれほどまでにエステティシャンの提案で変わるのかということですが、これはやはりエステティシャンの「知識」と「お客様との信頼関係」がそうさせるのだと思います。エステティシャンは美容部員・化粧品販売業者とは違い、それぞれの肌を見て、ハンドや機械のトリートメントを施し、カウンセリングも行います。こういった過程でお客様との信頼関係が高まり、ホームケア提案の価値も高まるのだと思います。またそういったキャリアで培われたエステティシャンの知識はエステサロン経営において大きな知的財産になりますから、お客様に役立つ肌知識をエステサロン内部でヴィジュアル化することが店販売上のアップに繋がると私たちは考えています。
【目次】
1.店販化粧品提案の前に、まずエステユーザーには肌状態を理解させる
2.ニキビの悪化ステップについて。エステと医療の領域別スキンケア
3.今回のまとめ
店販化粧品提案の前に、まずエステユーザーには肌状態を理解させる
前回のコラムでは、ニキビの状態(タイプ)において使用する化粧品の選定方法が変わるため、それらをしっかりエステユーザーに伝えることが大切だと書きました。ニキビができていない毛穴が詰まっていない状態であれば、肌をしっかりと保湿すること・バリア機能のある角層を育てることが重要で、皮脂が少し多くなってきたときには品質の良い洗顔で皮脂を落とし、油分量が極力少ないスキンケア化粧品やノンコメドジェニック化粧品・ビタミンC誘導体を配合した化粧品がお奨めであることを示さないといけません。またニキビが進行した角質肥厚や白ニキビの状態については、皮脂抑制・角層柔軟・抗炎症・整菌効果のある化粧品や、ピーリングなどの角質ケアが必要であることに理解を促進させなければいけません。エステメニューであれば一言で「ニキビ肌対応メニュー」といっても、その進捗状況で、使用する洗顔・ローション・パック・美容機器が異なる理由があるように、店販化粧品もまた同じことがいえるため、提案する店販化粧品が何か?という前に、「お客様のニキビレベルはどのレベルか」ということをまず把握させないといけません。
ニキビの悪化ステップについて。エステと医療の領域別スキンケア
白ニキビを放っておくと、今後は赤ニキビの状態に進行していきます。ここまでくると、かなりエステサロンで行うメニューや使用する店販コスメに制限がでてくると思いますが、重度であるからこそ、しっかりと原因と対策について方針を示し、その上で業務用商品や店販商品を選定できる環境づくりを行えるか?ということがエステ経営のポイントです。例えば赤ニキビは、毛穴内に炎症が起こり周囲は赤く腫れている状態であり、白血球が集まりアクネ菌を攻撃している状態です。この状態ですと患部にはなるべく触らず余分な皮脂だけを丁寧に洗顔で落とすことに務めないといけません。また抗炎症や整菌効果のある化粧品のお奨めがおそらく有効的ではあり、洗いすぎ・メイクをすることは控えてもらうように伝えるべきでしょう。赤ニキビが膿をもつと黄ニキビになり、さらに炎症が進み毛穴の壁が壊れて広がると、いわゆる「クレーター」という陥没状態に肌は変化します。ここまでくると業務用・店販用化粧品では限界があるため、医療機関でのケミカルピーリングやレチノイン酸の塗り薬・レーザーを使ったターンオーバー促進など、エステの領域を超えた治療を受けていただくことも場合によっては促す必要があるでしょう。
今回のまとめ
エステサロンで販売するOEM等のエステティック専売美容液といわれるものは、「綺麗になるため」に使われるといいますが、私たちはその本質を「肌トラブルの予防」と捉えています。もちろん一人ひとりの肌状態とはそれぞれ違いますが、肌というものは「通常の状態がベスト」なわけであり、美容液に含有している成分は抗炎症・抗酸化・整菌といった恒常性維持がその主の目的となります。例えばニキビには4つの悪化ステップが存在しているのですが、このステップを阻止すること・進行を減退させることができるのであれば、痛みやコストが伴う「治療」にまで進む必要がないことをお客様には理解してもらうことが大切です。エステサロンで選定もしくはOEMで開発したクレンジング・洗顔・ローション・美容液・クリームなどの日常使いを定着させるためには、こういったエステティシャンがもつ美容知識からアプローチすることが有効的であると私たちは考えています。