エステサロンのサービスは、お客様の身体を手技や機械で施術するという一般の業種とは特殊なものですから、新規集客で来店したお客様が一生涯に近いお付き合いになっているというケースがある反面、重度なトラブルを招く可能性もあります。近年エステサロンで起こった事例として、エステ機器によりお客様の顔にやけどを負わせてしまった件が挙げられます。この件の対象となるお客様は人前にでる職業だったため、90日程仕事を休業せざるを得なかったとして、100万円程度の休業損害が請求されています。このように、エステ施術が原因で多額の損害賠償を支払うリスクは、どのエステサロンでも生じ得るため、留意と準備が必要となるのです。ではエステサロンが行うべき留意や準備とはどのようなものか?ということを今回のコラムではお伝えしたいと思います。
【目次】
1.エステサロンのカウンセリングは、施術リスクの確認も織り交ぜましょう
2.エステサロンで「やけどを負った」とクレームが発生した場合の対処法
3.今回のまとめ
エステサロンのカウンセリングは、施術リスクの確認も織り交ぜましょう
まずはエステサロン内部で行うセールスマネジメントなのですが、売上をつくるためにどうしてもセールス過多の傾向にカウンセリングが成ると、当然問題が発生しやすかったり深刻化してしまいます。お客様との信頼関係を構築するため、エステ施術のセールスに合わせて解説や確認を織り交ぜながらカウンセリングを行ってください。またその際、施術の料金説明も怠らないようにしてください。またフェイシャルエステ・脱毛サロンなどに多いのですが、施術リスクの確認も丁寧に行うことが必要です。施術リスクとは、痛み・副作用について起きうる可能性について正直にお客様にお話をし、同時に自身のエステサロンが行っている対策までお伝えできればより良いでしょう。この際、同意書を取得することが後のトラブルの予防や軽減策により繋がります。
エステサロンで「やけどを負った」とクレームが発生した場合の対処法
冒頭のエステサロンに通うお客様のように、「エステサロンで行った機器の施術でやけどをした」という事例が実際に起ったら、エステサロンはどのように対処するべきなのでしょうか?まずは電話・来客の対応そのどちらにおいても、確認と謝罪が必要です。確認とは、お客様のお名前・施術日・エステ施術内容・具体的身体症状で、謝罪とは「ご心配をおかけしている」という点です。ここで気をつけないといけないことは、エステサロンは病院ではありませんしエステティシャンは医師ではありませんので、お客様の症状がやけどかどうかの判断はできませんし、該当する症状がエステの施術によって起こったものかどうかも判断はできません。そのため、対応するエステティシャンはお客様を医療機関へ通院することを促進してください。繰り返しになりますが、身体の異常症状をサロンで診ることはできませんので、医療機関への診断・通院を促してください。そしてその際の診断料はエステサロンが支払うという旨をお客様にお伝えしてください。
今回のまとめ
エステサロンの施術で起こった可能性のある身体の異常症状対応に関しては、冷静に進捗させることが重要です。まず対象となるお客様のヒアリングを丁寧に行い、お互いが事実を冷静に把握することが大切です。また献身的であるエステティシャンによくあるケースなのですが、「わからない」ことを安易に何度も謝罪したり、身体の異常症状に対する具体的対応策を伝えることは禁物です。お客様の不安な気持ちに寄り添うことはもちろん大切ではありますが、このような禁忌事項の代償として、被害額が甚大となったり問題の長期化を招くことになります。こういったエステ現場で起きうるリスクに対するマネジメントも、ノウハウや教育体制として整備することがエステ経営にとって私たちは大切だと考えています。