新規集客により来店したお客様・長年来店いただいているお客様のどちらも、エステサロン経営とは常に、育成を意識したマーケティングを行わなければなりません。エステサロンにおける顧客育成とは、単価アップ・リピート率アップといったKPIの向上などが業績としてあらわれますが、その中身はサロンがメインで開発したメニューにしっかりと受けていただき(例えばフェイシャルサロンであれば、業務用機械での美容液導入・デコルテまでの手技など)、ホームケアでは化粧品を使っていただくことなど、お客様が健康で美しく、それに伴い単価やリピート率が向上するようなビジネスモデルをつくらなければなりません。こういった顧客育成という観点のマーケティングは、エステサロン内部の環境づくり(売り場づくり)がポイントになります。そのため多くのエステサロンでは、春・夏・秋・冬と各季節でエステメニューや陳列される物販商品の入れ替えが行われており、こういった動きが大きければ大きいほど、エステサロンは繁盛しているケースが多いものです。エステサロンは、店舗型のBtoCビジネスに比べて、こういった店舗内の販促環境が売上に大きく作用します。それはやはり、肌や体型などがビジュアル(写真等)の変化がわかりやすいことであったり、美容商品は多様な成分で成り立っているため、エステサロンとしてもあらゆるセールスマーケティングが行えることなどが背景にはあるでしょう。しかしエステ店舗内だからといって、Webマーケティングのようなリスクマネジメントは必要ありません、とはならないのです。今回のコラムでは、多くのエステサロンが行いがちな、薬機法等に抵触する可能性があるマーケティングツール事例をお伝えしたいと思います。
【目次】
1.化粧品やサプリメントを、エステサロンで販売するときの注意事項
2.エステサロンで制作するチラシのキャッチコピーに注意しましょう
3.今回のまとめ
化粧品やサプリメントを、エステサロンで販売するときの注意事項
エステサロンの多くは化粧品やサプリメントを販売しますが、そういったときに「臨床データを提示する」といった販促手段が頻繁に行われますが、これは薬機法上、効果効能等又は安全性を保証する表現の禁止に抵触する可能性があります。化粧品であれば(仮にこの先Aコスメという)、Aに配合されているコラーゲンは、豚による動物実験を行い、皮下◯◯mlまで浸透したため、人間でこの作用を置き換えると、立体感のある美肌になるだろうという広告があるとします。これは例え大学や企業が研究した正式なデータベースがあったとしても、このような広告をしてはいけません。「正しいデータなのでいいじゃないか」という誤解は頻繁にあるのですが、問題はデータの真偽ではありません。化粧品は臨床データや実験例等を例示することに対しては、説明不足になり、かえって効果効能等又は安全性について誤解を与えるおそれがあるため行ってはいけないことになっています。これはサプリメントにも同じことがいえます。サプリメントに入っている乳酸菌は、大学のデータによると腸の温度を温めることがわかっている、といった臨床データの表示はしてはいけないことになっています。つまりこういった臨床データの扱いや理解は、美容メーカー・ディーラーとエステサロンの間だけで事実をベースに行い、カウンセリングでは別の形で言い換えなければならないのです。
エステサロンで制作するチラシのキャッチコピーに注意しましょう
エステサロンで販売する化粧品やサプリメントは、商品力の高いアイテムが多いですから、
キャッチコピーを決めるのは、企画の醍醐味といえます。しかしながら「優れた効き目」「よく効果がある」などという強調表現は控えたほうがいいでしょう。またPOPデザインであれば他の文字と大きさ・色・濃淡で強調するなど、こういったあからさまな表現は、なるべく行わないほうが無難だといえます。
今回のまとめ
マーケティング上、エステティック業界は確かに、商品の強みをPRすることが困難である分野だとは思います。そのため、Webマーケティング・店舗内の販促物づくりなどの過程で、うんざりしてしまうエステティシャンも多いのではないでしょうか。しかしレギュレーションを意識したマーケティングを繰り返し行えば、リスクマネジメントの体制はもちろんのこと、ライティングスキルやPRスキルが店舗として成長していくのではないかと、私たちは考えています。