エステサロンは、集客こそが重要な売上アップのKPIではありますが、それはなぜかというとエステサロンはある程度のリピート率と単価・継続期間が見込めることを前提にしています。確かにWebマーケティングで来店にまで繋がったエステを受ける新規顧客は、飲食店や美容室ほどふらっと来店するわけではなくある程度HP上で内容を精査しているわけですから、リピート率・単価・継続期間などは一般的なBtoCの店舗型ビジネスに比べると高い水準であることが予想されます。しかしながら私たちは、この顧客育成を視点とした数値にかんしても、まだまだエステサロンには伸び白があると感じています。それにはデータ的根拠もあります。リクルートが運営するホットペッパービューティーから最新である2022年版の美容事業態別リピート率が発表をされました。該当データには、新規顧客の3ヶ月内(つまり3ヶ月以内でリピート来客した比率)リピート率は17%です。私たちが過去ご支援させていただいた200件を超えるエステサロン様の同データも、23%でしたので、これは真実味のあるデータであるといえるでしょう。これらの根本的な問題は2つあり、1つは自社コンテンツ(オウンドメディア)ではない入札型の集客システムを利用していることであり、もう1つは、オペレーション上の問題です。エステサロンの店内にAttention(注意)・Interest(興味)・Search(検索)・Action(行動)・Share(共有)といったマーケティングオペレーションがしっかりと機能していないことが問題なのです。
【目次】
1.エステサロンの化粧品販売オペレーションに欠かせないInterest(興味)フェーズ
2.化粧品店販に成功するエステサロンのマーケティングオペレーション
3.今回のまとめ
エステサロンの化粧品販売オペレーションに欠かせないInterest(興味)フェーズ
エステサロンで販売している化粧品は、しっかりとした効果が期待でき、テクスチャーがよく副反応リスクも少ないプロフェッショナル商品ですから、値段はある程度しますし、そうすると購入にはしっかりとした仕掛けが必要です。前回のコラムではビフォーアフターブックなどをオペレーションツールにすることで、Attention(注意)を獲得しすることができるという第一のフェーズをお伝えさせていただきました。第二のフェーズはInterest(興味)ですが、これはエステティシャンが専門という分野にもかかわらず、あまりプロモーションとして店内には実施されていないケースが多いというのが私たちの感覚です。Interest(興味)を顧客にしっかりと喚起すると、一気に購入への確度が高まっていきます。化粧品販売に成功しているエステサロンで、私たちが特に感心させられたマーケティングオペレーションの例をいくつかご紹介したいと思います。
化粧品店販に成功するエステサロンのマーケティングオペレーション
化粧品のリピーターが多いエステサロンは、店販事業は一旦成功といえるのではないかと私たちは思います。特に基礎化粧品は、それほど女性にとって金額以上の価値を示す大切なアイテムであり、そのアイテムを介し顧客とコミュニケーションを取リ続けることで、売上だけでなく大きな信頼に繋がり、紹介を生むきっかけにもなるでしょう。化粧品の販売もまた、「使用者の声」「エステティシャンの声」「ビフォーアフター」などでAttention(注意)を獲得するのですが、そのあとのInterest(興味)を喚起することこそ、エステティシャン腕の見せ所です。その一例として乾燥肌の顧客が多いフェイシャルサロンが挙げられます。乾燥とは肌の水分量が足りないから「潤わす」というのは対処的なケアなので、肌の水分量を保持するため、「不足したセラミドを増やすことが乾燥肌の正しい改善方法」というPOPがカウンセリングルームに飾られていました。水分保持機能・肌のバリア機能(免疫)の働きをするセラミドは、細胞間脂質の主成分なのですが、これが不足すると肌の水分が失われやすく、潤いがなくなり乾燥肌になるという理屈が図とテキストでイラストされているPOP内容でした。そうすると顧客は、天然由来の植物性セラミドをたっぷりと含んだ当店の取り扱い化粧品。というキャッチコピーに、しっかり心が刺さってくれるというわけです。真皮の深いシワの進行を抑えるには分子量の大きいコラーゲンを塗布しても浸透できないため効果が期待できず、その代わりにコラーゲンを生成する線維芽細胞を活性する還元型ビタミンCがいいよとなれば、リンク性の高い取り扱い化粧品にぐっと購入が近づくわけです。
今回のまとめ
エステティックの物販事業は、サプライチェーンを製造元・メーカー・ディーラー・エステサロンのすべてがマネジメントに携わります。つまりエステサロンの顧客を見込みとして抱える以外のバリューをオペレーションで持たなければ、物販事業は持続的な成長曲線を描くことはできないでしょう。そういった観点で考えたとき、「メーカーに店舗内販促物の制作を依存する」ことは、一見便利なように思えますが、ゆっくりと売上・利益率は下降することになると私たちは考えます。