エステサロンが店販事業を大きく拡大していくためには、OEM化粧品の開発・エステサロンでの販売が必須であることは前回のコラムでお伝えしました。エステサロンの施術売上は労働集約型のビジネスモデルであるために、どうしても営業時間や顧客単価によって制限があります。営業時間を拡張すると、もっとも経営にとって大切なエステティシャンの心身に疲労が蓄積され施術やカウンセリングのパフォーマンスは落ちますし、顧客単価を無理して上げると、地道に積み上げたお客様との関係性を悪化させることにもなりかねません。OEMにより鋭く商品のコンセプト尖らせ、利益率を高め、競合他社がいない環境づくりを行うことが、エステティックサロン経営において重要なマーケティングの一つなのです。しかしながらエステティックサロンが店販事業に参入をするとき・もしくは店販事業が盤石でない状態のときに大きな在庫を抱えるOEM事業に参入することはかなりリスクが高いので弊社としてもあまりおすすめはしておりません。店販マーケティングの第一のフェーズは、まず貴社のエステサロンが提案したくなるような既存のプロフェッショナル化粧品や美容機器を探し、オペレーション上で提案し、実績を構築することでしょう。であれば、このオペレーション上において大切なポイントは一体何なのでしょうか?私たちは十年・200件以上のエステ経営に携わり、またエステ経営を成功しているエステオーナー・エステティシャンとの取り組みを通じて、エステサロンの店販が成功しやすいオペレーションを学びました。今回のコラムではこの内容について共有をしたいと思います。
【目次】
1.化粧品店販を成功させる、エステティックサロンのオペレーションの傾向
2.ホームケアの顧客指導。エステサロンはクレンジング・洗顔方法を教える
3.今回のまとめ
化粧品店販を成功させる、エステティックサロンのオペレーションの傾向
エステティックサロンが店販を行う方針として、化粧品販売に力を入れていくことをおすすめしています。それには2つ理由があり、1つは化粧品がストック型の店販売上になるからです。例えば粗利益が5万円の美容機器を販売することよりも、粗利益が5,000円の美容液を販売することのほうが、未来を見据えた経営だと私たちは思っています。美容液の販売は美容機器と比較するとたった10分の1程度の粗利益ではありますが、気に入って1年使っていただければ、(大体エステ専売の美容液は30mlサイズ程度なので)12本になると美容機器の粗利益を超えてしまいますし、美容液が属するブランドの「化粧水もいいの?」「クレンジングはどう?」といった場合に横展開していきますから、結果的に2倍〜3倍の単価且つ継続売上になっていくからです。2つ目の理由はエステサロンに通うお客様と、より良好な関係を築いていく大切なツールになるからです。化粧品とは間違いなくすべての女性にとって、また美意識の高さが一般的以上な男性にとってもポジショニングが高い高級日用品です。しかしながら「化粧品難民」というキーワードを頻繁に耳にするように、その選定に翻弄されている人は大変多いのです。つまり美容業にかかわらない一般的な人たちにとって、「私に合う化粧品」をすすめてくれ、効果的な使用方法をレクチャーし、モチベーションを鼓舞してくれるエステティシャンという存在は、モノ過多である現在だからこそ、もっともニーズが高くなると私たちは思っています。これはエステ経営者である読者の皆様にとって釈迦に説法ではありますが、「私に合う化粧品」をすすめてくれ、効果的な使用方法をレクチャーし、モチベーションを鼓舞することが通常のオペレーションであるエステティックサロンは、化粧品店販を成功させている可能性が非常に高く、且つOEM事業の展開を検討するべきフェーズだといえるでしょう。
ホームケアの顧客指導。エステサロンはクレンジング・洗顔方法を教える
エステサロンに通うお客様たちは、比較的高水準の美容知識を持ち合わせています。しかしながらプロフェッショナルなエステティシャンからすると「え?」というような方法でスキンケアをするお客様も多々いるという話を聞くことも多いです。例えばクレンジングであれば、クレンジングをパック代わりにして肌の上に長く放置したり、クレンジング剤には界面活性剤が入っているから少量しか使わないとか(少量だと摩擦で肌を痛めてしまいます)、クレンジング後にタオルで肌をゴシゴシと擦りつけるなど、色素沈着の原因になるようなことを自ら行うため、献身的なエステティシャンはそれを注意し、改善をしています。洗顔であれば、脱脂力が高い固形石鹸を乾燥肌人が使う・汚れが落ちるように熱いお湯で洗顔する(ぬるま湯でなければいけません)といったケースが挙げられます。こういったホームスキンケアの些細なポイントは、インターネットテキストに目立っているわけではないですし、投稿者によってはその情報自体が正確でない可能性があります。エステサロンは消費者にとって「施術を受けに行く」だけでなく「美容ケアを教えてもらう空間」であることは間違いがありません。
今回のまとめ
店販が定着しているエステティックサロンほど、売り込み型の営業ではなく、コーチング型のオペレーション環境が整っています。「この化粧水がおすすめです」というよりは「お客様の肌状態は◯◯という状態なので◯◯タイプの化粧水を使うと効果的ですよ」といったカウンセリングに適したツールがあり、アドバイス力を磨く勉強会が頻繁に行われています。