エステサロン・脱毛サロン専門のマーケティング会社マーケティング・プロダクト・ファクトリー(MAP)のお知らせ・コラムです。

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2022.03.16

エステサロンが陥るWebマーケティングトラップ

月々のマーケティング費用が限られているプライベートエステサロンの集客においては、トリプルメディア戦略の中でも、アーンドメディア・ペイドメディアという選択肢を外し、オウンドメディアの運用強化に専念すべきです。と、お伝えいたしました。この手の議論を進捗しようと思ったときに、よくこういう話を耳にします。「一つのメディアに偏らせることなく、媒体特性がそれぞれ違うのだからフェーズごとにコンテンツを分けましょうよ」これはとてもバランスが良く賢い戦略に聞こえます。つまり1920年代にアメリカの広告実務書で唱えられた「AIDMA」・2000年代前半に広告代理店である電通から唱えられた「AISAS」などの時々変わる消費者心理に従ったコンテンツ活用を行おうと、言い換えればそういうことです。多くの美容コンサルティング会社は、これを回路的に設計し実務の負荷を代行することで売上を上げています。しかしこれらの支払いコストを、エステサロンは利益として投資回収がしっかりできているのでしょうか?結論からいうと、私自身は良好な経営成果を聞いたことも、見たこともありません。「取り組むことで色々と勉強になりました」と、気丈な言葉を耳にする度に、私は複雑な思いをしていました。誤解を恐れず述べるのであれば、経営者の事業投資に勉強など必要はなく、「成果」これ一点が目標であり目的であるからです。本日のコラムでは、一見秀逸ですが間違ったWebマーケティング戦略あるあるをお伝えします。複雑且つ成果の上がりにくい戦略は、経営にとってもっとも悪に働く活動です。「しないことを先に決める」ことで、生産性の高いサロンづくりを快適に行っていただきたいと私たちは考えます。

【目次】
1.集客施策の主流は、SNS・LP・HPのコンテンツ連鎖。
2.SNS・LP・HPの流入回路で集客を狙うと、新規事業は赤字になります
3.今回のまとめ

集客施策の主流は、SNS・LP・HPのコンテンツ連鎖。

いまからお伝えするスキームを、私たちはWebマーケティングトラップと呼んでいます。現在のエステサロン集客施策において、主流はSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)・LP(ランディングページ)・HP(ホームページ)をそれぞれ細かく運用し、順番に連鎖させていきながら、コンバージョンの総数を高めよう。と、そういうことです。具体的事例を挙げると、導入部分でお伝えした「AIDMA」の型にはめたカスタマージャーニーマップの構築です。AIDMAとは、顧客の心理的反応を英訳しアルファベットの頭文字を羅列したものになります。日本語訳は左から順に、認知・関心・欲求・記憶・行動です。これをWebコンテンツごとに当てはめると、認知・関心はSNS。欲求・記憶はLP。行動はHPといったところです。紐付けの論理はいたって単純で、認知・関心を獲得するには、媒体の拡散性が重要。しかし大手の企業広告のようなテレビCMや公共交通機関の吊り革の紙面などはコスト的に難しい。そうすると会員属性がセグメントされており、ある一定のエンゲージメント率が想定できるSNSコンテンツは勝手が良く、ただ投稿するだけなら料金もかからないので、お手頃で効果的な拡散手段とみなされることが多いのです。そして欲求・記憶獲得のLP。これはエステサロンのようなメニューが多様で料金システムを事前に確認しておきたい業種には、不可欠な広告ツールであるといわれています。フェイシャルメニューであればどのような施術工程で・化粧品は何を使っているのか・デコルテ付きだといくらになるのか。このような解説をしっかりと行い、閲覧者には他店と比べ魅力的にイメージを感じさせないといけません。このフェーズでは欲求「フェイシャル施術を受けたいな」・記憶「あの店よさそうだったな」という状態を顧客の心理目標として設定します。そしてこの目標基準に達した顧客はLPに挿入されたHPリンクにアクセスし、オウンドメディアにやっと辿り着くということです。HPではエステサロンの雰囲気や、オーナー・スタッフの顔や言葉をアップすることで、信頼性を生み予約を獲得するという全体の回路設計です。

SNS・LP・HPの流入回路で集客を狙うと、新規事業は赤字になります

フェーズごとにコンテンツを準備して、動線になるように連結させていく。これは見事なWebマーケティング戦略のように思えますが、繰り返しますようにこれはトラップです(プライベートエステサロンに限っての話です)。なぜかというと、この戦略は設計や運用に時間がかかるだけでなく、新規の損益が中長期的にみてまず赤字になります。私は創業以前に200を超えるエステサロンのサポートをしており、SNSの普及もあって多くのエステサロンがこの戦略に踏み切ったのですが、一例もうまくいった話を聞いたことがありません。なぜでしょうか?これには2つの問題があります。一つは、コストの問題です。この戦略であれば、構築にもっともコストのかかるHPはあくまで予約機能となりますから、集客機能にこだわらず、簡易なデザイン設計にすると一見コストも賢くカットできそうなものです。しかしながらその代わりの制作物として、LPのコストを要します。本戦略では、LPフェーズが消費者心理の山場になりますから「しっかりPRするデザイン」にすると、少なくとも60万円程度の余剰コストが生じます。またSNSはすでに成熟した市場ですから、「認知をとる」と簡単にいっても相当な時間を奪われることは避けられません。ざっと概算ですが、エステティシャンが施術で1時間に稼ぐ粗利益を1万円とします。SNSの投稿やネタ探し・撮影やフォロワーとのやりとりなど一日2時間をマーケティング工数に使うとしましょう。1日×2万円×営業日数で例えば20日だとすると、月間の粗利益で20万円の損失。一定の成果が出るまで少なくとも半年はかかるので、6ヶ月を乗算して120万円。つまりLP制作コストを含めると、200万円近いコストオーバーを招くわけです。また弊社がコストより問題だと感じているのは、見込み顧客の離脱です。フェーズをいくつかに区切ってコンテンツを分け、リンクでアクセスを誘発することは、すなわちフェーズごとの見込み顧客離脱を招くことを意味します。そもそも私たちは、エステサロンのように「選択比重として信頼をもっとも優先する」サービス機関の探索を検索エンジン上且つ広告外のポータルサイトもしくはホームページサイトで行います。つまり結論としては、あの手この手で誘導するより、本命のサイトに一度でアクセスさせることが、どう考えても得策なのです。

今回のまとめ

そもそもマーケティングとは、「価値あるものを顧客に伝えること」です。我々は日常の中で、思いを伝えたい大切な相手には、膝を突き合わせてしっかりと話をしているはずです。しかしこと商売になると、その手段を複雑にしたり、表現をついつい過剰にしてしまったりするものです。「まだ見ぬ相手」とはいえ、「将来の大切なお客様」には、思いがもっとも込めやすいHP(自社サイト)を活用し、コミュニケーションを行うべきなのです。